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「もっと緩急をつけて!!」
テニスのレッスンの中でそう注意することが多い。
試合に出場している人なら、緩急をつけることの重要性はよく分かっているじゃないかな?
「緩急打ち分けしたいなら・・・」テニスの試合に出れば分かる、その必要性
凄く速いショットを打てるからと言っても、それを使い続けると相手がそのスピードに慣れてしまい、そうなると効果は無くなってしまうし、状況が苦しい中で速いショットは自分の首を絞めることになりかねない。
やっぱりゆっくりのショットは必要だね。
ということで、皆緩急を意識して練習を始めるんだけど、それが上手くいかなくて「緩急って難しい」なんて声をよく聞く
緩急を付けようとつけようとした結果、全体のリズムも崩れてしまい、結局グダグダテニスで負けてしまい、そんな結果になると「だったら全部打っとけば良かった!」ということで、緩急をつけることに苦手意識を抱いてしまう人も少なくないでしょ?
そうなってしまった人がよく陥るミスは、実はスウィングスピードの方なんだよ。
ゆっくりのボールを打つ時、ゆっくりのスウィングで振ろうと思ってしまう人はまずこの緩急の切り替えが難しい。
ボールのスピードはもちろんゆっくりと速いという変化は欲しいんだけど、実はスウィングスピードはあまり変えてもらいたくないのだ。
じゃあ何でボールのスピードが変わるかと言うと、それはボールの回転量は種類の違いとなるのである
回転量が少なくてフラットに近いとスウィングスピードに近いボールのスピードになるし、ボールの回転量を増やせばそのスウィングスピードはボールの回転を掛けることに使われた結果、スピードはゆっくりになる。
ということは、自分自身の速めのショットのスウィングスピードを覚えておいて、それと同じリズムの振り抜きでボールの回転量を増やしたり減らしたり・・・と切り替える練習を普段からやれば良いのだ。
この同じ振り抜きでの緩急を覚えると驚くくらい沢山のメリットがある。
まずはやはり同じリズム、同じ振り抜きと言うことで緩急の切り替えがしやすい。
それから当然相手にも速いのかゆっくりなのかを読まれにくい。
しっかり振り抜くスウィングだから、足もよく動かしやすい
それがスウィングスピードを落としてしまうとバレるうえに、足が急に動かなくなって腰砕けのショットになりやすいのだ。
そういうの、経験したことあるでしょ?
しっかり振ろうとした方が、足も元気に働こうとしてくれる。
ゆっくりのボールと言えど、ボールはとにかくラケットで打つとよく飛ぶように出来ているで、コートの枠へ安定して入れるにはやっぱり回転量の多さが不可欠。
そこでしっかり振り抜いて、回転多めにした形でのゆっくりショットの方がアウトも意外と少ないし、その結果安心感も得られる・・・という訳なのだ。
怖々と当てにいった時の方がアウトしやすいのも分かるでしょ?
他のショットも同様のことが言える
よくあるのが、サーブだね。
1stサーブでフォルトしたから、2ndサーブをゆっくりで入れにいこうとして、結局リズムが変わってミスをするというパターン。
もっと安定させて、なおかつ2ndサーブも相手に叩かれないような最低限の質を維持するには、1stサーブと同じスウィングの速さで振り抜いて2ndサーブを打つこと。
2ndサーブをゆっくりにしてしまうと、本当に入れるだけになるからそれはレシーバーに叩かれやすいし、そこでゆっくり当てるだけの打ち方をすると、結局サーブの後のストローク、もしくはボレーのリズムまで大幅に狂ってしまう。
こんなところに、ゆっくりスウィングに変えた影響が出てくることは気付いてない人が多いのだ。
ということは、一番最初のサーブの時点でその後のショットのことを考えて、しっかり振り抜き、次のショットのリズムを壊さないようにすることを意識しておかないといけないということなのだ。
それはスライスでも同じこと
ゆったり打っているイメージがあるスライスでも、やっぱりボールを打つ瞬間の当たりはリズム良く振り抜くのだ。
例えばサーブを打って、それをしっかり深くトップスピンのストロークで返球してからスライスで返球、それが甘く返って来たから前へ詰めてしっかり打ってアプローチしてからオープンコートへボレー、更に返って来たのをオープンコートのネット際へ殺し、それをやっと拾った相手がロブを上げたのでスマッシュで決める・・・なんてパターンだと何種類もショットを混ぜて使っているし、緩急もつけている。
でも実はリズムは全部「しっかり振り抜く」ということで統一されていれば、プレーしている選手にとってはさほど使い分けの難しさは感じないのである。
テニスのレベルが上がるにつれて、相手のレベルが上がり試合のレベルも上がっていく
そうなると、自分の一番良いショットをどこで使うか・・・ということになり、その場面に辿り着くまでは、ゆったりと地味なショットで相手と打ち合わないといけないし、「ここだ!」という場面になったら、それまでと同じ雰囲気や構えの状態から自分の一番のショットを繰り出す。
そのことをしっかり意識すると、緩急を打ち分けるヒントが見えてくる。
アグレッシブに、ゆったりとしたショットを練習しましょう。
■引用元
元プロテニスプレイヤー 高西ともからのメッセージ