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高校の頃、素振りをやらされた。
皆で一緒にやって、その時に掛け声もかけるんだけど、ストロークの時の掛け声は「1、2、3~」であった。
1でテイクバック、2でラケットダウン、3でヒット。
「1、2のストローク」のタイミングで打てるようになると、アナタのテニスは変わる!
いつの間にか体がそのリズムでストロークを覚えたんだけど、そのリズムだと色々ある問題が試合中に起こった。
それは、スライスのストロークやボレーのリズムとタイミングが合わないんだよね。
スライスやボレーは1でテイクバックしたら、2でもうヒット、「1、2」ってリズムなんだよ。
ということは、ストロークに比べて1テンポ遅れて準備をしても十分間に合ってしまう。
だから凄い速いサーブとかストロークを打たれた場合はスライスを使って、「1、2」で打つんだけど、一度スライスで「1、2」を使ってしまうと今度は「1、2、3」のリズムで覚えているトップスピンでのストロークに戻せなくなってしまうのだ。
頭の中は完全に「1、2」のリズムに切り替わってしまい、テイクバックで1、その後ラケットダウンの2の段階でもうボールが打ち頃の場所にある状態で「間に合わない!」って感じ。
もうそうなるとテイクバックから直接ヒット・・・なんていう打ち方になるんだけど、それだとミスも多いから結局スライスに戻してしまう。
一度スライスを使うともうその試合中はトップスピンに戻せない。
昔はそう思って試合していたんだよ。
ではそこからどうやって、スライスとトップスピンの打ち分けが自在に出来るようになったか。
それはトップスピンを変えたから。
トップスピンのリズムを「1、2、3」のリズムでずっと体が覚えていたんだけど、それをスライスショットやボレーと同じ「1、2」に修正したんだよ。
ただし、テイクバックを1にしてしまうとラケットダウンを省いてヒットを2にしないといけなくなり、それだとトップスピンは掛からない。
そこでラケットダウンを1とし、そこをスタートとしてヒットを2として、「1、2」のトップスピンストロークにしたのだ。
ん?じゃあテイクバックは?
テイクバックは0だね。
相手が打った瞬間すぐにテイクバックは行うけど、それはカウントに数えないで、そこから「1、2」のリズムに合わせてラケットダウンとヒットを行うんだよ。
これでトップスピンのストロークもスライスもボレーも全て、「1、2」のリズムで打つことが出来るので、それぞれの打ち方は違えど、色々使い分けがしやすくなった。
トップスピンのストロークで繋ぎながらたまにスライスで凌ぎ、そしてまたトップスピンに戻し、チャンスあればスライスのアプローチで前へ出てボレーをする・・・というパターンも、これで随分とやりやすくなったもんだ。
それからラケットダウンを1にしたことで、他にも色々メリットが出てきた。
まずはライジングが打ちやすくなったこと。
それから速い相手のショットを返球しやすくなったから、逆にカウンターで打ち返して攻撃というパターンも増えた。
ラケットダウンからスタートするイメージなので、力も貯めやすくなり、スィングスピードも上がってショットのパワーも上がった。
もう俺の頭の中では「1、2」「1、2」「1,2」とずっとそれでリズムが刻まれていて、色んなショットを繰り出しているのだ。
皆も素振りで一度試してごらん。
「1~2~3!!」ってストロークをやるんじゃなくて、「1、2」で振ってみるのだ。
テイクバックは一応しっかりやるんだけど、あくまでもラケットダウンの1からが主役で「1、2!」のフルスィングでやってみよう。
スライスやボレーなんかも続けて一緒に素振りを行うと、同じリズムの心地良さを感じられるかもね。
■引用元
元プロテニスプレイヤー 高西ともからのメッセージ