目次
今回の企画は、テニス専門のプロトレーナーとして活躍する、村上弘平さんによる「夏場に痙攣しやすい人が今からできる食生活・運動習慣」について。
みなさん、これからもう寒い時期は過ぎ、本格的な試合・大会シーズンに突入していきます。
長い試合での痙攣対策、トレーニング、対策は出来てますか?
「まだ、自分は足がつった経験は無いな…」という方も、その日は突然、大事な試合で訪れます。
ぜひ、意識して欲しいポイントについて、まとめて頂きました!
著者紹介
テニス専門 プロトレーナー 村上 弘平
体育学修士→教員、部活指導→プロトレーナー
正しい「体の使い方」でテニス上達へ導く、プロテニス選手を支えた「一流」のトレーニング指導や栄養学を、「誰よりもわかりやすく」伝える活動を継続中
Twitterアカウントはコチラ→テニス専門トレーナー 村上
その日は突然、訪れる
私自身、大学3年のころまでは「痙攣」の経験はありませんでした。
ある日、その時は突然訪れました。
もう既に涼しい時期、10月くらいだったと思います。
シングルスの試合で、そこまで長い時間試合をしていた訳ではなかったんですが、急につまずいたように足が動かなくなる。
そして、片方の足から、もう片方の足へ。
伝染するようにふくらはぎまでが固まるような感じになり、数ポイント後には腰のあたりまで固まってしまう。
これはまずい・・・と思っていましたが、その時はもう試合の終盤でしたので、何とか誤魔化して勝つことが出来ました。
体調も良く、しっかり休養も取れていたのに、痙攣って突然訪れる。
いやもう、恐怖でしたよ。
これがもし、団体戦だったら・・・自分に勝敗がかかっていたら・・・と考えたら。
みなさんも、テニスの試合に出続けるのであれば、意識しておいて絶対に損は無いテーマです。
テニスの試合における、痙攣について
注意していても、テニスの試合で足は攣る
まず、あし(ふくらはぎ、ひざの前、ももの裏)がつる、痙攣する人は、汗の量がとても多いことが挙げられます。
その原因は発汗によって失われる、電解質(ナトリウム・カリウム)であることが多いとされていますが、意識して塩分を摂取しても「つる(攣る)」という方も多くいらっしゃいます。
みなさんも、同じような経験があるのではないでしょうか。
私は、夏場の試合でよく足を痙攣する、インカレテニス選手の血液検査をしたことがあります。
彼の電解質濃度は、普段つらない選手と同じ、基準の範囲内でした。
ということは、スポーツドリンクや塩分をこまめに摂取するのとは他に、何か違う準備が必要なのです。
肉や油物ばかり、摂取していませんか?
私たちの食生活は、つい何かと偏りがち。
特に男性の方は、肉や油物に摂取が偏る傾向にあります。
まだまだ、テニス選手でも意識が低い方が多く、試合で痙攣している要因となっていることに気付かない方も多いのが現状です。
食生活の改善、魚類や貝類に含まれるタウリンを摂取することによって、こむら返り(ふくらはぎのつり)が改善された報告もあり、今注目されています。
また最近では、タウリン3000mg(チオビタ3000等)の積極的な摂取でで結果が出た、という報告も挙がってきています。
色々と自己コントロールしながら、試してみて頂くと効果的でしょう。
効果的なトレーニング方法は?
最近の研究では、「つり」の原因は筋肉をコントロールする運動神経(脊髄から筋肉に伸びている神経)にあるのではないかと考えられています。
筋肉に命令を下す神経が過剰反応することによって「つる」のであり、リラクゼーションのためのストレッチ・メンタルコントロール・下半身のトレーニングが注目されています。
試合前に、いつも通りのルーティーンでストレッチを行う。
身体全体をリラックスさせるような工夫をするだけでも、夏場の痙攣対策になるはずです。
持久力をただ高めておけば「攣らない」、とは限りません。
神経の過剰反応を防ぐ為の工夫、つらないための食生活・運動習慣を続けて、今年の夏はたくさん試合に出ましょう!
注目したい、「アミノ酸」効果
市販の商品でも、充分に効果有り
みなさんも、よく耳にする「アミノ酸」という言葉。
痙攣対策には、ぜひ取り入れておきたい代表的な成分です。
アミノバイタルなどのBCAA(必須アミノ酸)が含まれたサプリメントは、筋肉に2つの良い効果をもたらします。
①分解を抑える
②合成を促す
これによって翌日の筋肉痛を減らしたり、使った筋肉をよりしっかりさせたりなどの効果があります。
試合に出続けていると、どうしても疲労が溜まりがちになりますよね。
アミノ酸を摂取することで、しっかりと試合に出続けるテニス選手としての身体が出来上がっていくでしょう。
摂取の方法・時間
アミノ酸は「薬」ではなく、タンパク質が分解される過程でできるものです。
ですので、出来るだけ食事と同じように扱いましょう。
「普段の食事からタンパク質を摂取する」
「練習や試合後にサプリで適量を摂取する」
で、問題はないです!
また食事の中では、体重1kgあたり2gのタンパク質を摂取するよう心がけてください。(体重70kgの人であれば140g)
アミノ酸は練習や試合後の30分以内に筋肉に吸収されると、①と②の効果が最大になります。そのため、このタイミングでは食事ではなく、サプリメントを優先して摂取するべきでしょう。
アミノ酸は、タンパク質をあらかじめ吸収しやすいよう分解してくれている、便利なものだと考えてくださいね。
アミノ酸は、「攣り」に効果的?
「よし、じゃあアミノ酸で痙攣対策は万全だ!」と思った方、ちょっと待って下さい。
実は、一概にそうとは言えないんです。
適量であれば問題はないのですが、過剰摂取によって3つのリスクがあり、逆に脚を「つる」リスクを上げるのではないかと考えています。
①アミノ酸(BCAA)は、アルブミンというタンパク質となり、血液中のタンパク質濃度を上げる
②過剰摂取すると、浸透圧が上がる(血液が濃い状態になる)
③血液を薄くするために筋細胞内から水分を送る(この時電解質も失われる)
アミノ酸は筋肉疲労の回復、体づくりに効果的な成分ではありますが、実は痙攣防止のメリットは薄いのではないか、というのが実際のところです。
もちろん、疲労が痙攣を呼び起こす意味では、効果的な部分もあるはず。
また痙攣自体、そもそも要因は人それぞれ、でかなり大きく異なります。
ご自身で色々と試してみながら、効果的な方法を探ってみて頂くことをお勧めします!
いかがでしたでしょうか?
今後も、こういったコラムは連載のような形で更新させて頂きますので、試合に出て頑張るみなさんの力になれればと考えております!
引き続き、宜しくお願い致します。
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