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テニスコーチなんて簡単だ。
誰でも出来るよ。
テニスの技術?
そんなの関係ない。
なーんて思ったのは23才の時。
「テニスコーチとして一番重要なこと」に気付かされた先輩コーチからの相談ときっかけ
高校に入ってからテニスコーチを始めたのに、高2の夏休みでテニスコーチデビューが出来たからそう思ったかと言うと、全然違うのだ。
むしろ、それまでは苦難の連続だった。
レッスンの中で教える情報は少ないし、練習パターンも乏しいし、大勢の人に向かって話をすることも簡単には慣れなかったし、何よりテニスが下手くそだったからね。
「テニスコーチってなんだろう?」
そんな漠然とした疑問を抱き、不安を感じたまま毎日毎日コートに立ってレッスンをこなし続けた。
先輩コーチのレッスンを見て勉強しようとしたけど、やっぱり経験のある先輩コーチたちは、教え方も上手いしテニスも綺麗なんだよね。
余計にテニスコーチの難しさというか、奥深さを感じてしまい、自分自身がコーチとしてどういう存在でコートに立てば良いのか分からなくなってきた。
それでも徐々に経験を積みながら、テニスの技術も上げること出来たので、テニスに対して自信も高めることが、出来て、やっとレッスンってどうやるのか分かってきた。
でも一番決定的だったのは、とある先輩コーチから言われた一言がキッカケなんだよ
その先輩は俺より10歳以上離れたコーチで、俺よりテニスが強かっただけでなく、左利きでネットプレーが抜群に上手い憧れの先輩コーチ。
でも普段から色んなところでその先輩コーチは練習もレッスンもしていたから、なかなか一緒に練習する機会は無かったんだけど、ある日、俺に連絡が来た。
「今度の横浜市民大会、一般のシングルスで優勝したい。高西、手伝ってくれないか?」
横浜市民大会は単なる市民大会とは違い、規模が大きい分だけレベルも高くなる。
そんな横浜市民大会のシングルス優勝を狙うための、練習パートナーになって欲しいと言われたのだ。
もちろん「僕で良ければ!!」とすぐOKをした。
それからはその先輩コーチと毎日のように練習。
俺より強いし先輩のコーチだったけど、俺としては毎日彼のテニスを受けながら、段々と俺自身が気になった彼のダメな部分を言うようになっていった
それは毎日受けていると分かる「良い時」と「ダメな時」の違い・・・たったそれだけなんだけどね。
「俺の意見」とか「俺が持っていた情報」っていう偉そうなのではなく、その先輩コーチを毎日観察して得た、単なる客観的な情報をただ淡々と毎日伝えるようにしていた。
だって格下の後輩ではあるが、それ以上に優勝してもらいたいという思いがあったからね。
結果、その先輩コーチは横浜市民大会のシングルスを見事優勝したのだった。
そして一番にまず俺に電話をかけてくれた。
「高西のおかげだよ。一緒に練習してくれてありがとう。練習の時、色々言ってくれたおかげで優勝が出来た!」
そう言われて、本当に嬉しかった。
そしてその時、
「テニスコーチって簡単になれるんだ」って思ったのだ。
最初、俺は単なるヒッティングパートナーでしかなれないって思ってたけど、その人をちゃんと観察して、その人の中のいい部分と悪い部分を見つけ出して、ちゃんと情報として伝えることが出来れば、それは立派なコーチと言える。
もちろん自分なりの意見を述べたり、新たな情報をもたらすことも必要なことではあるが、基本は「ちゃんと見といてあげる」なんだよね
その先輩コーチから「ありがとう」って言われてからは、俺は今まで以上に自信持ってどんな人にも、どんなレベルにも自信持ってレッスンすることが出来るようになった。
自分より強い選手や、見たことないテニスをやる選手のコーチやる時でも、まずはその選手のプレーをたくさん見てあげて、それからその中の良いプレーを指摘して増やすようにしてもらい、また悪いプレーも指摘して、それを減らすようにしてもらえばイイことでしょ。
テニスコーチって簡単に出来るって思わない?
まずは周りでテニスをやっている人のテニスをジッと見てあげて、そのいい部分と悪い部分を指摘出来るくらいになっていれば、コーチになれますよ。
■引用元
元プロテニスプレイヤー 高西ともからのメッセージ