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今年のテニス、インターハイ会場の団体戦に、見慣れた強豪校の名前は少なかった。
柳川、相生学院、名古屋…。
かつて、いや今でも名将と呼ばれる指導者の下で圧倒的な練習量で大会を勝ち上がってきたチームが、地方大会で敗退。
その代わりに出場した選手たちは、新たな高校テニスの波を、創り始めていた。
「2015年 インターハイ テニス で見た新たな潮流」高校テニス界は変わり始めた!
◼️「錦織選手の活躍」とベースラインから下がり過ぎない選手達
もはや国民的関心事になった錦織選手の活躍。
その影響からか、ベースラインから積極的に展開する選手が目立った。
かつてはベースラインより2m下がって粘り続ける選手が、特に団体戦で多く戦っていた。
それこそマラソンテニス、体力勝負に持ち込めば負けない自信があったのかも知れないが、その表情に生気は無かったように記憶している。
少し荒削りでも、自分から攻撃していく選手が増えたことを喜びたい。
◼️山口高校に見る、「進学校の省エネ」テニスとは?
高校野球しかり、テニスにもいわゆる進学校と呼ばれる学校がいくつか団体戦に出場。
特に眼を引いたのが、男子の山口高校のシングルス選手。
とてもリラックスしたフォームで、バックハンドストロークが素晴らしく伸びがある。
丁寧なテニスは、きっと普段の勉強と重なる部分もあるのだろう。
少ない練習時間とコートで完成度を高めて勝負する、そんな意気込みが伝わってくる。
本人たちは意識していないかも知れないが、これはある種の高校テニス界への挑戦状のようなもの。
喰らい付く生粋の体育会選手とのラリーは、イデオロギー抗争のようで気持ち入ったナイスゲームでした。
◼️「若さゆえの課題」も今後の伸びしろに
もちろん、若さゆえの課題もある。
明らかに確立の悪いストロークでのストレートへの展開、スピード重視のファーストサーブ。
逆を言えば、今しかできないテニスでノーガードの打ち合い・・・。
そんな中でもドロップショットからロブボレーでポイントを組み立てたり、サーブ&ボレーを取り入れる選手もいて楽しい。
画一化された選手が多いと言われる昨今、現場では面白い選手が育ってきている。
もしかしたら大学、社会人、いやベテランになってから花開く選手もいるんじゃないだろうか。
彼らが10年後、どんなテニスを展開しているのか本当に楽しみ。
まずはしっかりテニスを続けていて欲しいと、心から願うばかり。
◼️何より「笑顔でテニスの試合」をして、相手を威嚇すること無い選手が微笑ましい
団体戦の勝敗は重い。
5年前に全国選抜大会を観戦したときには、必要以上に相手を威嚇し、声を張り上げている選手が多かった。
今回はのインターハイでは、どこか和やかな雰囲気があり、厳しい暑さの中にも選手の笑顔が目立つ。
たまたま見かけたチームは、試合後も他チームの監督と真剣に試合のアドバイス等の話をしていた。
聞けば地域全体で強化を図り、その結果長崎や山口、島根や新潟といった地方の学校の強化に繋がっているとのこと。
一昔前のように、「伝統校と都市部の学校は、地方より強い」という常識は崩れつつある。
これは今までの高校テニス界には少なかったことで、感慨深い。
テニス人生は、長く楽しい。
そう感じてもらう為に、このインターハイという舞台を経験している選手が、10年後にテニスを続けている。
簡単なようで、何と難しいことかと最近特に感じる機会が多い。
少しずつ、変わり始めたこの潮流に乗ってテニス界全体で、一般のテニスを盛り上げていきたい。
やっぱりテニスは、試合が楽しいし面白い。
このサイトでも、ブレずに一人でも多くの方に伝えていければと思います。