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プロ選手でも一般の方の試合、学生さんの試合でも、試合終了後は握手をして終わる。
何気ないように思うこの光景にこそ、テニス選手としての器を垣間見ることが出来ます。
「良い握手」が出来る選手は、間違いなく大成する。
1,000試合以上、主審を務めてきた私が言うので間違いないと思います。
アナタは試合後に、どんな握手をしていますか?
試合後の握手の場面、テニス選手としての器はそこに全て現れます
■勝者を讃えることが出来る人は、少ない
プロ選手の試合を観ていると、敗者がどういう態度をしているかに私は目がいきます。
本当に出し切って、良い試合が出来たときの表情、しぐさは美しい。
勝者を讃える姿は、観ている人を本当に気持ち良くさせてくれます。
「でもそれって、プロの世界の話でしょ・・・?」と思った方、テニス選手としてはまだまだ未熟です。
どんなレベルであれ、試合後の態度にこそ人間としての器が現れるものだと、私は思います。
■試合は2人で作り上げていく作品である
どんなに最強のテニス選手でも、試合は一人では出来ません。
ネットを挟んで対戦できる、対戦相手がいてこそ試合が出来る、テニスが出来る。
本当に試合に強い選手はそのことをしっかり理解しているから、試合後に相手に感謝の気持ちを伝えようとする。
その想いこそ、その人のテニスの強さの根源。
人と人との間にあるのが、テニス。
もちろんネットを挟んだときには倒すべき対戦相手ですが、試合終了の瞬間に、そのネットは降りるし消える。
その間には、新しい絆がある・・・そんな試合を、ぜひ皆さんにも経験して欲しいと思います。
■握手は人のテニスを、人生を変える
対戦相手に敬意を示す、器の大きい選手は握手が力強い。
私も審判台から下に手を伸ばして、そのまま引きずり降ろされるんじゃないかと思った選手が2人います。
一人は天才少年として活躍し、日本リーグでもプレーした台湾のワン選手。
ルー選手と共に、グランドスラムを主戦場とした本当にセンスの塊のような選手でした。
もう一人は、審判台を降りて握手しましたが、当時まだ高校生で無名だった、国枝慎吾選手。
彼の活躍ぶりは、私がここで語るまでもありませんね。
この2人の握手は、私は生涯忘れられません。
対戦相手だけでなく、審判である私にも力強くしっかり目を見て、握手をしてくる。
自分から手を離すことはありません。
ずっと握ってるんじゃないかと言うくらい、しっかり握手する。
感謝や強い想いは、握手一つでも相手に伝えることが出来るのです。
試合に負けたら、それは悔しい。
初対面の人と、なんでそんな握手一つに力を込めないといけないのか・・・と思うかも知れません。
でも、テニスをやっていたから、スポーツをやっていたからという訳ではなく、握手って大事です。
それに気付いたたのは、私は社会人になってから。
もっと高校生の頃に、最高の試合をした後に良い握手をしたかった。
もっと言えば、対戦相手と抱き合ったって良かった・・・変に恥ずかしがっていたことを、今ではちょっと悔やんでいます。
少しの後悔を込めて・・・ぜひ皆さん、テニスをやっている限りは、対戦相手との握手の瞬間を大事にしてみて下さい。
きっと人生が、変わります。