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「ボレー上達は、ネットプレー心にあり」テニスの試合で苦手意識を克服する為に

目次

とにかくボレーが嫌い!

高校生の頃はそう感じていたし、高校卒業してコーチになってからもずっと感じていた。

何とかボレーが出来るようになりたい・・・そう思って日々練習をしたし、ボレーが上手い先輩コーチの打ち方を観察したんだけど、手応えは無かった。

 

「ボレー上達は、ネットプレー心にあり」テニスの試合で苦手意識を克服する為に

 


 

18歳で入社したそのテニススクールでは毎日朝練をやっていたんだけど、その内容は大抵「自分がやりたいことを順番で」、という形で行われることが多かった。

俺は苦手である「バックハンドストローク」、そしてもちろん「ボレー」の練習をお願いして毎朝のように取り組んでいた。

その練習内容は、ボール出しをしてもらってボレーのステップや打ち方など基礎的なフォームを覚え、そして繰り返し行うことで身に付けるということ、そして短いボールを出してもらって、それをアプローチしてネットプレーからのシングルス練習といったもの。

でもいくら綺麗なフォームと思われる打ち方でボレーを打ってもショットにキレがないし、アプローチからネットプレーをしても抜かれるか、触ったとしてもミスするかして「試合では全然使えない」って気持ちが膨らむばかり。

 

「やっぱり俺はボレーの才能がないんだ」逆にやればやるほど、そう思って自信はどんどん無くなっていった

出口の見えない真っ暗なトンネルを走っている気分だったけど、何とかそこから抜け出したいという気持ちは変わらず持っていたから、
そこで諦めることはしなかった。

幸い、その時は試合での戦績もさほどいい結果を残している訳ではなかったから、戦績の維持・・・なんかは気にせず、時間をかけてネットプレーに取り組んでやろうって思ったのだ。

練習方法は何やっても手応えは無かったので、とりあえず1年間、ボレーは手応えは無いし、技術はショボイままだけど、ネットプレーヤーとして試合に出続けようって思ったのだ。

サーブはもちろんサーブ&ボレー。

レシーブも出来る限りレシーブダッシュ。

最初にネットへ出られなかったとしても、2発目、3発目でどんどん前へ詰めてボレーを狙う・・・というルールを自分で決めて、1年間実行してみたのだ。

それをすることで、ボレーに慣れてボレーが上手くなるかなって思ってね。

 



 

当然、導入当初、結果はボロボロだった

安定感が必要不可欠なテニスというスポーツで、どんどんそれと真逆となるネットダッシュで前へ出まくる俺のテニスは、ミスも増えたし相手に決められることも多くなったから、戦績が上がるどころか、それまで勝っていた相手にも負けるようになってしまった。

でもだからと言って、ネットプレーを止めることはなかった。

だって、元のプレーに戻してまで大事に守るようなテニスじゃないのは、もう分かっていたからね。

「1年間やり続ける」という決心は変わらず、抜かれてもミスしても毎ポイント、ネットへ詰め続けた。

しかし、ボロボロに抜かれながらもずっと続けていると、さすがにちょっとした手応えが見え始めたんだけど、それは予想していたことと違ったんだよ。

 

それは何かと言うと、ポイントの取り方

本来、ネットプレーを覚えたい理由は決めるショットを増やすため。

だからどんどんネットプレーを続けていくと、ボレーで決まるポイントが増えると思っていたんだけど、実際ネットプレーにトライし続けた結果、相手のミスでの得点が増えたのだ。

もちろん最初は、相手のミスが増えたこと以上に自分のミスや、決められるポイントが多かったからあまり気にならなかったんだけど
明らかに粘るのが上手な相手でも、こちらがネットプレーを仕掛けるとミスの数は増えたんだよ。

そういう相手って、こっちもストロークの場合は粘っても、攻撃を仕掛けてもなかなかミスをしてくれないんだけど、ササッとネットに詰めると意外と簡単にミスをしてくれたりするし、続けて次のポイントも前へ出ると、その相手はなかなか立ち直れず、連続ミスをしてくれたりする。

ということは、ネットに詰めるということは、ボレーを決めに行くことよりも、相手にミスを促すために出る方が効率はイイということになるし、そうなるとボレーは決めることよりも相手にパスを抜かせないということを第一に考えておくべきだって思った。

しかも「パスを抜かせない」って思うようになると、相手のパスを打つコースやタイミングを覚えるようになり、コースを読めるようになっていった。

コースを読めるようになると、相手はよりこちらのボレーを嫌がってミスが増えたのだ。

 

「決める必要が無い」と思うようになると、打ち方も変わった

ブンブンとラケットを振って決めようとしていた以前と違って、面を合わせて相手威力を利用して返球するボレーになっていったので、打ち方がコンパクトになり、結果コースを相手に読まれにくいボレーになった。

加えて、コンパクトなボレーの打ち方は動き回った時もブレにくいから、ネットプレーでの守備範囲が広がっただけじゃなく、思い切って前へ踏み込んでボレー・・・なんてタイミングで打てるようになった。

そして、そういう打ち方になって初めて、「うん、この飛びは良い!!」って満足するボレーの手応えを感じることが出来たのだ。

そうなると結局、「決めるボレー」も増えて行ったんだよ。

もちろん、ネットプレーを全ポイント思い切ってやろうって思ってすぐにこういう結果が出たわけじゃない。

最初にも言ったように、スタート当初は負けやすくなった。

1年やり通した結果「ん?出続けると相手が崩れやすいな」って感じられるようになり、またその数年後に「第二次ネットプレーヤー期」をまた1年設けて、そこでやっと打ち方や踏み込み方に変化が出たのでかなり時間は掛かっている。

でもその結果、ボレーが上達するにはボレーの練習だけじゃダメってことが分かったのだ。

ボレーを上達させるには、ネットプレーヤーの真の目的を理解し、ネットプレーの本当の効果を分かっていないとボレーの技術って
進歩しないんだね。

 

それから、俺はボレーが苦手なんじゃなくて、ネットプレーヤーの気持ちが分かっていなかっただけってことも判明したしね

皆の中にも「ボレーが上手くなりたい」と思って、ひたすらボレーのフォームチェックと決めるボレーの練習をやっている人がいたら、現在の中途半端な段階でどんどんネットプレーをトライすることをオススメする。

ネットプレーは技術じゃなくて、キャラクターで戦うんだってことが分かるはずだよ。

 

■引用元
元プロテニスプレイヤー 高西ともからのメッセージ

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