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「クレーコートでのネットプレーのコツ」新時代のテニスに不可欠な戦術を身に付けよう

一昔前まで、シングルスの試合のネットプレーと言えば画に描いたようなアプローチから、サービスライン一歩手前で1stボレー。

その後にもう少しネットに詰めて、フィニッシュのボレー、というのが主流でした。

エドバーグやラフター、名手と呼ばれた選手たちのプレーは本当に美しく、流れるようなプレーに憧れた方も多いと思います。

そして、時代は変わりました。

ご存知の通りラケットやフットワークの進歩が、残酷にもネットプレーヤーの居場所を奪い、パッシングショット優位なポジションが築かれたと言われています。

とは言え、全仏オープンを観ていても、勝ち上がる選手は必ずここぞというタイミングでネットプレーを混ぜてきます。

ではそのタイミングや作戦は、どのようなものなのでしょうか。

「画に描いたようなアプローチ」がパッシングの餌食になるのであれば、どのタイミングでネットに出れば良いのか。

相手が繋いでくるボールを仕留めるには、どこを観察すれば良いのかをまとめてみました。

 

「クレーコートでのネットプレーのコツ」新時代のテニスに不可欠な戦術を身に付けよう

 


 

1.相手が「繋ぎにくるラリー」を狙ってネットへ出る

クレーコートのシングルスのラリーは長く、根気の良く相手のボールを返し続けなければいけません。

自分のショットを続けようと心掛けても、どこかフワッと繋いでしまいたくなるような場面があります。

特にフォアでのラリーから急にバックへ展開したようなタイミング、あるいは相手のミスを待ちたいようなポイントには、必ず心に隙が生まれます。

そこをそのままベースライン上で待っていては勿体無い。

思い切って相手がスイングに入る少し前に、スススッと前に出てみましょう。

サービスライン付近で肩より高い位置でボレーができれば、より攻撃的な返球ができチャンスが広がります。

 

2.相手が「自分のポジションを確認しながらラリーいるか?」チェックしてみる

アナタの対戦相手は、どんなことを意識しながらラリーしているでしょうか。

中上級者までに意外と多いのが、意識が自分に向き過ぎていて相手が見えていないパターン。

ポジションを少し前、後ろに動いて揺さぶってみて、それに反応しているかどうかをチェックしてみましょう。

ポジションを変えてもプレーを変えてこないようであれば、そこは思い切って前に出ることも可能、ということになります。

自分が打ったボールがネットを超えて、横向きになったときがチャンスかも知れません。

一度、普段練習をしているメンバー相手にも試してみて下さい。

 

3.グリップをスライスにチェンジしたときこそ、ネットを取るチャンス!

相手とのラリーの中で、左右に揺さぶっていくとスライスで凌がれる場面も増えてくるでしょう。

実際のプロ選手の試合の中でも多いパターンですが、相手がスライスのグリップにチェンジした時点で前に行くことをお勧めします。

そこから早いパスはほぼ打ってこれませんし、ロブへの対応さえ準備しておけば、相手をより追い込むことが出来ます。

相手を追い込むほど主導権を握れないときも、少し浅いボールを打ってあえて相手のスライスショットを引き出すという先方も有りです。

特にバックハンド側の浅いボールはスライスで対処するプレーヤーが多いので有効です。

相手のグリップチェンジ、すなわち右利きの選手であればスロートを持つ左手の動かし方を、試合中は凝視しましょう。

4.ストロークラリーの中で「相手の逆」を突いたとき

ストロークでしっかりした構えから打っていけているときは、相手の逆を突いて攻撃していける機会も多いはず。

そこで粘り強い相手であれば、きっとスライスで繋いでくることでしょう。

これを見逃す手はありません。

しっかりネットに出て仕留めることで、相手はよりプレッシャーを感じ、「読みの精度を上げなければ・・・」と精神的にプレッシャーをかけることができます。

よくシングルスの試合でストロークのラリーで押していても勝ちきれない選手は、こういうネットプレーへの繋ぎ方、締め方が出来ていない場合が多いのです。

逆を突いたらネットで仕留める、を癖付けていきましょう。

 

5.とにかく「試合の序盤に必ず1本」ネットプレーを入れておく

全仏オープンのようなグランドスラム大会が5セットマッチですが、一般の試合では1セットマッチが主流。

試合時間も短く、あっという間に勝負はついてしまいます。

だからこそ、アナタ自身が「ネットプレーもする人」には前半のうちになっておく必要があります。

試合に出ている人なら分かると思いますが、試合の序盤でネットでポイントを取られる、というのは実に嫌なものです。

たとえ失敗したとしても、そのネットプレーは試合終盤まで意識として残りますので、「浅い球は打てない」とプレッシャーを感じて精神的に受け身に回ってしまうことも。

ですのでこの①~④のプレーは、できれば1ゲーム目に、遅くとも2ゲーム目には必ず入れていくようにしましょう。

初中級レベルの方でも、思った以上の効果が期待できるはずです。

 

「相手の隙を上手く突く」という要素は、近代テニスにおいては不可欠な要素です。

ネットプレーが難しい時代になったのではなく、より考えて駆け引きをしながら行う時代になった、ということです。

確かに最新のラケットはやっと追いついたボールにも、大きな力を加えて一般プレーヤーでも鋭いパッシングショットを可能にします。

テニスは常に進化しますが、大切な醍醐味は変わりません。

そう、テニスの試合大切なのは観察眼と相手との駆け引きです。

ストローク主体でシングルスを戦う皆さんも、この機会にぜひ、近代的なネットプレーも取り入れてみて下さい!

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